神社神道と教派神道と呼ばれる神道の世界を知っていますか?
新年には初詣で神社に行き、結婚式には和装して神前で盃を交わす。日本人には馴染み深いこの習慣ですが、あなたは神道についてどのくらいご存じでしょうか。神道は神社神道と教派神道に分けられます。特に、馴染のない方も多いと思われる教派神道について詳しく見てみましょう。
神道とは?
日本人の生活、宗教観を形作っている神道。日ごろ意識しない方がほとんどと思いますが、私たちの価値観に大きな影響を与えてるのが神道です。ここでは、少し詳しく神道とはどういうものなのか見ていきましょう。
神道と仏教の大きな違い
神道と共に、私たち日本人に歴史的に大きな影響を与えてきたのが仏教です。鳥居をくぐり、お墓に行って、お祭りでお神輿を担ぎ、大仏鑑賞。神道と仏教はわたしたちの身近にありますが、混合しやすい所もあります。それらの違いをいくつかあげてみます。
神様
神道
神道の神様は八百万の神。自然のものには全て神が宿っているという考え方です。八百万(やおよろず)とは、数がとても多いことの例えです。山の神、田んぼの神、池の神、家の神、台所の神、米粒の神。また実在した人物も神とされることもあります。例えば菅原道真や、不特定多数の戦死者を祀ったりもします。このことから、神道では神と霊とは基本的に区別がないと考えられます。
仏教
もともとの仏教は、シャカ(ゴータマ・シッダルタ)の思想に過ぎませんでした。その思想は主に4つ。「苦」(人生は苦)、「無常」(全ては移り変わる)、「無我」(全ての存在や現象には実体はない)、「涅槃(ねはん)」(全ての執着心を断てば、苦悩に満ちた輪廻の世界から解放され、生存から脱することができる)。この思想は言えなくもありませんが、後になってから大日如来や阿弥陀仏といった永遠の仏の存在を説くようになりました。
聖職者
神道
神職(神主)や巫女と言われる人たちが神道における聖職者で、特定の神社に仕えて歳事や社務、祈祷などを行います。また一部の巫女が神主に仕えて神楽や舞を奉納することもあります。
神職は基本的に説教はしません。それは神道に教典が無いからですが、神道の歴史や一般的な道徳を説く神職は存在します。
仏教
仏教における聖職者はお坊さん(僧)です。主な役割は教えを説くこと。また、葬儀のときにお経をあげたり、お寺や墓地の管理なども行っています。お寺に住んでいるのが住職で、教えを説くのが和尚と呼ばれます。
施設
神道
神道の施設とは、言わずと知れた「神社」です。神社は主に、鳥居と参道と社殿の3つで成り立っていますが、山や大木、池自体がご神体になっている場所などでは必ずしもその3つが揃っていない場合もあります。
仏教
仏教施設は「寺院」です。お寺は、悟りを目指す人たちが生活する場である「僧房」と、一般の人に教えを説く場に分かれています。また、教えを説く場は仏像などを祀る「伽藍(がらん)」であることが一般的です。
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日本神話
神道に関する風習や信仰は日本人の通常生活から生じたものであり、仏教伝来よりも以前からありました。しかし仏教が外国から伝来したことにより、元々日本人が持っていた風習や信仰を「神道」と名付け、自らのアイデンティティに目覚めたのです。
それは日本書紀のなかで示されましたが、そのなかで風習や信仰は神話と共に記されています。神話は聞きなれない名前の登場人物が出てきて難しい印象がありますが、それをわかりやすくお話として聞けるページを紹介します。
神道の分類
さて、神道についてもう少し詳しく見ていきましょう。神道は主に、神社神道、教派神道のふたつに分類をすることができます。しかし一般的に神道というと、神社神道を指すことが多くなっています。
神社神道
神社神道という言葉は、明治維新以後にできた比較的新しい言葉です。この言葉は、後述する教派神道と区別するためにできたといわれています。
日本全国に所在している神社を中心として、氏子などによる組織によっておこなわれる祭祀儀礼を信仰形態の中心とする神道を、神社神道と呼びます。これら、八万余の神社を統括しているのが神社本庁です。神社本庁が本宗とするのは、三重県伊勢市の伊勢神宮です。
教派神道
教派神道(きょうはしんとう)とは、明治時代に国家から公認された神道十三派(しんとうじゅうさんぱ)に代表される神道系新宗教教団です。
これは教祖や開祖の神道的な教義に基づいて始めた神道のことで、宗教機能を持つという特徴があります。幕末期に起こり、明治時代に教派として公認されました。各教団が独自に教義や教典を持っており、布教活動などにより信者を獲得しています。
各教派の分類
各教派は、以下の分類で分けることができます。
・従来の神道的伝統を継承している教派
・神社崇敬を基盤とする教派
・山岳信仰を基盤とする教派
・教祖が創唱した傾向が強い教派
・宗教行政が成立させた教派
教派神道十三派
教派神道十三派と呼ばれるのは、1908年の天理教の独立認可から1945年の宗教団体法の廃止までの約40年間において政府公認の神道教派が13派あったからですが、現在では離脱したり加入したりした教派があるのでその数は一定していません。
なお、当時の教派神道十三派は、以下のものでした。
神道大教、黒住教、神道修成派、出雲大社教、枎桑教、實行教、神道大成教、神習教、御嶽教、神理教、禊教(正式には「示」へんではなく「ネ」と書く)、金光教、天理教
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意外と知らない神道の世界【まとめ】
さて、いかがでしたでしょうか。神道の世界は日本人の暮らしにとけ込んでいます。しかし身近にあるからこそなかなかその意味などを改めて考えることは少なかったのではないでしょうか。
神道の世界には、大昔からの日本人の知恵や価値観が反映されています。例えば、「となりのトトロ」に出てくるような鎮守の森などの自然を大切にし、自然と人間が共存していく大切さ。そして、日ごろの苦しい労働を忘れ、特別な日にお祭りを催し、それを通じて地域の一体感を高め、和を持って過ごすこと。そして祖先に感謝し子孫の繁栄を願うこと。こういった価値観は、宗教という枠を超えて今一度見直すべきことなのかもしれませんね。